「舞台」短歌*たんたかたんか

「明星」第八回のお題は「舞台」でした。
歌会の模様はこみねさんのブログをご覧くださいませ。
短歌結社「明星」第八回歌会 お題:「舞台」 - こみねもすなるだいありー


今回提出させて頂いたのは以下五首です。

冷たい雨が君を濡らしていく 手を伸ばせず息をしては輪廻

完全に滝沢演舞城、滝沢歌舞伎イメージなんですが、立ち回りの最後、雨が降る中切られていく人たちを見ていると敵方の役に名前がない人たちも表情とか演技がとても魅力的です。
今年の歌舞伎では特に渡辺くんと秋山くんのやりとりが好きでした。
渡辺くんが切られて秋山くんがその体を支えるように抱きかかえるんだけど渡辺くんは息絶えてしまう。
それを見て怒りに体を震わせながら義経に斬りかかる秋山くん。
わたしはそれを何度も見て、2人が死んでしまうと知りながらも、結局は見ているしかなかった。

わたしの心の中眠るビスクドールは光の中蘇る

これも滝沢歌舞伎イメージで。
最後に役者を乗せて盆が回るところが大好きなんですが、舞台上で死んでしまった人たちが名前を呼ばれて笑顔で答えるのを見るとほっとします。死んだのは役で、演技だってわかっていても。
余談ですがビスクドールは佐久間くんのことです。

見知らぬ彼の命の色に君の面影を探すのを許して

こみねさんの講評にもありましたが、見知らぬ彼=君が演じる役です。
君が演じるんだから、重なるところや癖とか見えて然りなんだけど、感情移入するとどちらが本当か本物かじゃなくて、舞台の上でその役が生きているんだと感じます。
なので、そこに生きる人を通して演じる君のことを考えることに少しの罪悪感があるのかも。

光のかけら真っ白な手が撫で死んだ 人はそれを天使と呼ぶ

わたしJr.の子が舞台に落ちている物を拾って回収するのを見るのが好きでして…。
落ちている物ってだいたい衣装や小道具の一部だったりすると思うんですが、それをただ拾うんじゃなくて振りやダンスの流れで処理するのが好きです。
舞台や役者を彩る物だったのに欠け落ちて拾われて、いらないものになってしまうのって少し悲しい。

燃え盛る命の真ん中狂い咲くダリア欺いて永遠に

こみねさんにも仰って頂きましたが、この歌の景色は真っ赤です。
一回一回、命を燃やして素晴らしい舞台を見せてくれる方々に感謝を。
出来れば何度でも見たいなと思ってしまいます。


ぼんやりしている間にお題「中島健人」くんの回も終わりまして、ただいま焦ってこれを書いております。
舞台短歌楽しかった!
また何か見に行ったら個人的にも読みたいです。